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スエ714

画像:所蔵写真(亀山機関区 1986.9)

戦災を受けた客車や電車を復旧した70系客車は376両がありますが、そのうち117両が国電を復旧した車両です。(注1)
当初は旅客用でしたが、早くに郵便・荷物車に改造され、最終的には救援車になって車庫の隅に置かれたり、短命に終わった系列です。戦災車ゆえ、流用した台枠や車体そのものの老朽化に加え、資材不足の時期に施工したことによる劣化も原因です。
記録や写真が少ないため、その調査結果も少なかったのですが、2023年に文献M2301(藤田吾郎「70系戦災復旧客車(上〜下)」)によって、かなりの部分が解明されています。

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70系客車

70系客車の分類方法

車長による分類

タネ車の台枠を流用しているため、17m車と20m車があり、形式も分けられています。また20m車には3軸台車をもつものもあり、これも形式が分けられます。本稿では車長によりページを分けていますが、3軸台車は客車にしかないため、本文には掲載していません。

表3-8-1 70系客車の形式分類
区分 車種 17m車 20m車 20m車
(3軸台車)
初期形式 旅客車 オハ70形 オハ71形
オハフ71形
オハ77形→オハ78形
郵便車・郵便荷物車 オユニ70形 スユ71形→スユ72形
荷物車 オニ70形 スニ71形→マニ71形
マニ72形
マニ77形→マニ78形
試験車 スヤ71形
改造形式 郵便荷物合造車 オハユニ71形
郵便荷物車 オユニ71形
スユニ72形
マユニ78形
荷物車 スニ73形(電車タイプ)
スニ75形(客車タイプ)
マニ74形(電車タイプ)
マニ76形(客車タイプ)
事業用車 オヤ70形 オル71形
救援車 オエ70形 スエ71形 スエ78形
備考
(参考掲載)マユニ786
マユニ786

画像:所蔵写真(深川駅 1963.4.5)

77・78の形式を与えられた3軸ボギー車はすべて客車改造なので、旧型国電とは関係ありません。
写真のマユニ78形は、マハ47形をタネ車としていますが、元々は2等寝台のマロネ37形です。戦前の客車には、乗り心地をよくするために3軸ボギー台車が多く使われていました。

車体タイプによる分類

復旧に当たっては、タネ車の車体を流用したものと車体を新造したものの2種類があります。
また、車体を新造した場合、タネ車が電車の場合は窓の縦寸法が大きい「電車タイプ」の車体に、タネ車が客車の場合は窓の縦寸法が小さい「客車タイプ」の車体になる場合が多いようです。
新造した車体は、側窓の桟が中央部にあるのが70系客車の特徴です。

電車タイプ車体(スニ7329)
スニ7329

画像:所蔵写真(京都駅 1956.2.19)

客車タイプ車体(スエ7179)
スエ7179

撮影:長町駅(1981.8.18)

「電車タイプ」の場合は側窓の縦寸法が大きく、幕板が狭いのが特徴です。「客車タイプ」の場合は側窓の縦寸法が小さく、幕板が広いのが特徴です。
両者ともタネ車の雰囲気を色濃く残しているため、私は文献2301を見るまで、車体を流用しての復旧車だと思っていました。
なお、一部にタネ車が電車でありながら、「客車タイプ」で復旧された車両もあります。

電車タイプ車体(マニ723)
マニ723

画像:所蔵写真(宮原操車場 1955.10.27)

70系客車では最も新しい1950年改造のマニ72は、側窓が1枚窓になったのが特徴です。
タネ車はすべて電車で、新造された車体も電車タイプです。また、半流線形などの台枠も切妻に修正の上で復旧されているのも相違点です。

タネ車による分類

タネ車は電車と客車がありますが、それによる形式の区別はありません。オハ77形などの3軸台車の形式は、必然的に元客車のみです。
また、新造された場合の車体も上記に記載したように元国電が「客車タイプ」の車体になった例もあり、一定の基準はないようです。

表3-93-2 70系客車形式別タネ車両数表
区分 形式 両数 元国電 元客車
初期形式 オハ70 113両 55両 58両
オハ71 155両 24両 131両
オハ77→オハ78 29両 0 29両
オハフ71 2両 2両 0
スユ71→スユ72 15両 0 15両
オユニ70 5両 0 5両
オニ70 8両 1両 7両
スニ71→マニ71 18両 9両 9両
マニ72 25両 25両 0
マニ77 5両 0 5両
スヤ71 1両 1両 0
合計 376両 117両 259両
備考 マニ775→マニ7118は、マニ71に計上
(参考掲載)スエ785
スエ785

撮影:小樽市総合博物館(2023.6.9)

唯一現存する70系客車が、小樽総合博物館のスエ78です。3軸ボギーの元マロネ37形客車である点は、上の方にあるマユニ78形と同じ出自です。
戦後の混乱期の貴重な生き証人として、保存されています。

主な参考文献
  • P5811-1 江波秀雄(1958)「70系客車のいろいろ」(鉄道ピクトリアルNo.88)
  • B9701 沢柳健一(1997)「旧型国電車両台帳」
  • M2301 藤田吾郎(2023)「70系戦災復旧客車」(RM LIBRARY No.277〜279)
(注1)
文献P5811-1(江波1958)では元国電は116両となっている。これはオハ71100→スニ7576を含まない両数。文献M2303(藤田2023)では、同車は元電車であるが番号不明となっている。また、文献M2303ではスニ7114〜17の4両が元客車になっているため、元国電は113両となっている。
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“ゲタ電”の頃