山陽電気鉄道(モハ63形割当車)

山陽電鉄では運輸省から20両のモハ63形の割当を受け、1435mmの標準軌に改軌して使用しました。当初はモハ63形の下3桁の製造番号をそのまま形式とし、63800形と称しましたが、1949年に700形に改番しました。(注1)

700系

山陽電気鉄道 700形(709号)
山陽電鉄

画像:所蔵写真(須磨駅 1957〜64)

1949年に700形に改番され、クリーム色と青のツートンカラーになりました。1951〜53年頃に側窓が3段窓から2段窓に改造されています。
台車は広軌用のDT13S、主電動機はMT40ながら広軌台車の歯車側に寄せて取り付けたため、定格出力は140kWと公称されています。(文献P0005-4)
なお、偶数番号が電動車、奇数番号が制御車です。

車体更新車(廃車体)
山陽電気鉄道 700形(702号)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

702+709は1964年に車体更新が行われ、内装の不燃化、アルミサッシ化などの窓改造を含む大修繕が施されました。パンタグラフは後位にに移されました。
写真は廃車後に検車区で車体のみ使用されていた頃。

山陽電気鉄道 700形(709号)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

車体更新車の制御車のほう。
前照灯のシールドビーム2等化は、1969〜72年の間に実施されたようです。

車体新製車(2700系)
山陽電気鉄道 2700形(2701号)
山陽電車

画像:所蔵写真(1962〜64)

西代車庫の火災で1951年に焼失した712+713をタネ車とし、1957年に2000系と同じ車体を新造した車両が2700+2701。全長18m、2扉転換クロスシート車で、高性能車の2000系と同一の車体となっています。
1964年にロングシート化、1968年に前面貫通扉取付が行われました。
タネ車と同様に、2700号が電動車、2701号が制御車です。

山陽電気鉄道 2700形(2703号)
山陽電車

画像:所蔵写真(1965.1.4)

1964年に700形の機器流用で作られた2700系2次車で、全長19m、3扉ロングシートになりました。2000系5次車に近いスタイルです。
同年に廃車となった700+715の機器流用で、台車、主電動機に加え、CS-5型制御器も流用されています。(文献P1905-8)

山陽電気鉄道 2700形(2708+2709+2703号)
山陽電鉄

撮影:東二見駅(1981.8.2)

引き続き1967〜68年に8両の2700系が増備されています。2次車と同じく3扉ロングシートです。
1968年に神戸高速鉄道の開業に伴う乗り入れダイヤ改正で、2両編成から3両編成に増結することになったため、電動車2両(2712・2714号)を新製、2709号を電動車化しました。
新性能化で2300系になった6両を除く6両は1986年までに廃車となりました。

新性能化改造車(2300系)
山陽電気鉄道 2300形(2300号)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

1976年に、2700系を機器更新により新性能化する工事が行われ、2300系となりました。この時点でモハ63形から継承するものはなくなりました。
2300形は電動車で、偶数車が先頭車、奇数車が中間車です。

山陽電気鉄道 2600形(2600号)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

2600形は2300系の制御車です。
2300系は、2700系と同様に3両固定編成で使用されました。

廃車体
山陽電気鉄道 700形(705号)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

東二見検車区には、700形の廃車体が複数置かれていました。
これは1967年に2707号に機器流用された後の705号で、屋根が一部張り替えられてベンチレーターが撤去されているものの、モハ63形の原形をよくとどめていました。

山陽電気鉄道 700形(719号)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

機器流用されずに700形のまま廃車になった719号。こちらはベンチレーターや前照灯、尾灯含めて現役時代の姿を保っています。制御車も、パンタグラフ部分のベンチレーターは設置されていないのが分かります。
この719号を含む6両は、車体更新や機器流用が行われないまま1969年に廃車になっています。

山陽電気鉄道 700形(車番不詳)
山陽電鉄

画像:所蔵写真(東二見検車区 1972.8.16)

山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

山陽電気鉄道 700形(車番不詳)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

現役時代の番号がよく分からない700形の廃車体も複数ありました。

山陽電気鉄道 700形(車番不詳)
山陽電鉄

撮影:東二見検車区(1981.8.2)

こちらは物置として使用するため、妻面に大きな扉が付けられた廃車体。「3-1」という倉庫番号もついています。

表6-22-2 山陽電気鉄道(モハ63形の譲受車)詳細
表6-22-2
主な参考文献
  • P7611-2 亀井一男(1976)「山陽電気鉄道」(鉄道ピクトリアルNo.327)
  • B8301 慶應義塾大学鉄道研究会(1984)「私鉄電車のアルバム(4C)」P398-399、P516
  • P0005-4 真鍋裕司(2000)「機器・装置から見た私鉄のモハ63系電車」(鉄道ピクトリアルNo.684)
  • P1905-8 堀田和弘(2019)「山陽電気鉄道63800(700)形」(鉄道ピクトリアルNo.959)
(注1)
文献P1905-8(堀田2019)によると、1949年の「車輌型式称号変更及車輌番号変更届」において、旧型式欄に「モハ63800型」と記載されていたとのこと。
車両前面の表記は下3桁であり、そこから現場の略称として「800形」と呼ばれるようになったと書かれている。本稿の表6-22-2においては、車体表記に従い「800〜」と記載している。

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“ゲタ電”の頃