称号改正

1959(昭和34)年

1957(昭和32)年に登場したカルダン駆動の新性能電車は、通勤用のモハ90形に始まり、長距離用の急行形モハ91形、特急形モハ20形などとその種類を増やし始めました。しかし、従来の2桁形式には、80番台の一部と20番台、90番台にしか空きがなく、早晩行き詰まることが予想されます。そこで、特に新性能電車の形式の増加に対応するため、1959年6月に形式称号の改正が行われました。
これに引き続き、1959年12月には旧性能電車の一部について番号整理が行われています。

(1)新性能電車の形式称号

新性能電車は3桁の数字で形式番号を表すという全く新しい付番方法となり、製造番号はハイフン以下の数字で表します。(例:モハ101-32)
また制御電動車に「クモハ」という記号が与えられ、中間電動車の「モハ」と区別されるようになります。この時から記号と形式番号で形式称号を表すよう変更されました。つまりクモハ101が形式であり、同じ番号でも記号が異なればクハ101、サハ101などは別形式となります。

表1-5-1 新性能電車・交流電車・交直両用電車の形式
クハ153-15

記号形式に含まれる
電気区分1〜3・・・直流
4・5・・・交流・直流両用
7・8・・・交流
9・・・その他の予備
用途0〜4・・・近距離・通勤用
5〜8・・・中・長距離用
9・・・試験用試作車など
製造順上2桁が同じ形式の製造順に数字が進む。
(例:151系→153系→155系→157系)
奇数の数字で系列を表す。
(例:モハ152・モハ153=153系)
車両番号形式内で改良されたりした場合、番号を大きく飛ばして付番できる。
(例:クハ153-1〜、クハ153-501〜)
サロ110-43

画像:所蔵写真(品川駅 1972.5.25)

新性能電車の形式は、記号+3桁数字になりました。末尾数字が偶数の場合は、一つ上の奇数の系列になります。つまり写真のサロ110形111系に含まれます。
製造番号は、ハイフンの後に続きます。

(2)主な変更点

旧性能電車も新性能電車に合わせて一部が変更され、制御電動車が「クモハ」に変わりました。また記号と2桁番号で形式称号を表すよう変更され、新性能電車と同様に、記号が異なれば同じ数字で異なる形式が可能になりました。

表8-5-2 昭和34年の称号改正の変更点
従来の形式称号 新しい形式称号
記号
電動車=モ 制御電動車=クモ、中間電動車=モ
形式
形式=数字(例:モハ72516の形式=72) 形式=記号+数字(例:モハ72516の形式=モハ72)
同じ数字で異なる形式にはならない 同じ数字でも記号が異なれば別型式
(例:サロ85、サハ85、クハ85)
事業用車は雑形として4桁形式(例:モヤ4700) 標準型国電由来の事業用車は2桁形式(例:クモヤ93)
(3)記号の変更点

制御電動車に「クモ」の記号が与えられたのは上に書いた通りですが、これは1950年の80系登場で中間電動車という新しい概念が生まれ、桜木町事故の結果による編成貫通化の推進から、この中間電動車が急激に増加したことによります。

表8-5-3 昭和34年の記号(電車関連)
記号 車種 語源
クモ 制御電動車 制御車の「ク」と電動車の「モ」
備考 これ以前に代用記号「ク」を「モハ」の頭に付けた「クモハ」が存在したが、全くの別物。
クモハ11205

撮影:上原庸行様(可部線管理所 1966.4.24)

制御電動車と中間電動車とを区別するため、「クモ」という記号が新設されました。
また、旧性能電車においても、新性能電車と同様に記号と数字で形式を表すようになり、表記方法も2段書きから1行書きに変わりました。

(4)事業用車の形式

雑形と同じ4桁形式になっていた事業用車のうち標準型国電をベースとした車両は、この機会に晴れて2桁形式を与えられました。
ただし、その付番方法は旅客車と異なり、一の位の数字の多い方から付番され、且つこれまで新性能電車に付けられていた数字は避けられているようです。

表8-5-4 昭和34年に形式変更された事業用車
従来の形式 1959年改正の形式 備考
モル4500 クモル24
モル4510 クモル24(051)
サル9400 サル28
クル9500 クル29
モヤ4600 クモヤ92
モヤ4700 クモヤ93
クヤ9020 クヤ99
備考 ※サル28は、実際には改番されずに廃車
※94はモヤ94→クモヤ791(この称号改正で改番)が存在したため空番
クモヤ92000

画像:所蔵写真(三鷹電車区)

これまで事業用車はすべて雑形の4桁形式でしたが、標準型国電をベースとする車両には標準型の2桁形式が与えられました。

1959(昭和34)年12月 番号整理

1959(昭和34)年6月の称号改正で積み残しがあったのか、同年12月22日に、旧性能電車の番号整理が実施されています。
特に静岡地区の車両と、阪和買収車が多く対象になっています。

表8-5-5 昭和34年12月22日番号整理
従来の形式 1959年12月改正の形式 備考
クモハ14(001〜) クモハ14(000〜) 普通屋根車
クモハ14(800〜) 低通屋根車
クハ16 クハニ19 仮荷物室設置車
クモハ2200〜2250 クモハ20 阪和形電動車
クハ6200〜6250 クハ25 阪和形制御車
クモハユニ44(001〜) クモハユニ44(000) 普通屋根車
クモハユニ44(800〜) 低通屋根車
クハ47 クハ47(011) 事故復旧車
クハ47(051〜) 運転台増設車
クハ47(151〜) 流電系
サロ46 サロ75
備考
モハ14029
モハ14029

画像:所蔵写真(伊那松島機関区 1959.7.3)

1959年6月1日称号改正の1か月以上後ですが、モハ14のままの表記です。飯田線、身延線のクモハ14、クモハユニ44、クハ47などは、12月に再度の改番で、番代が整理されます。
なお、同じ日の撮影で、モハ53008はモハのまま、クモハ61004はクモハに書き換えられています。

主な参考文献
  • B6301 慶応義塾大学鉄道研究会(1963)「電車ガイドブック」
  • B9701 沢柳健一(1997)「旧型国電車両台帳」ジェー・アール・アール
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“ゲタ電”の頃