用語について

当サイトで用いている用語について、ご説明します。
国鉄などの公式用語から、法律用語、鉄道関係の専門用語など、なるべく正確性を期すよう努力しますが、その一方で、一般の方々には理解できない文章では、Webサイトで発信する意味がありません。
そこで、ある程度の汎用性をもたせつつ、私自身の考え方なども差し込みながら、言葉を紡いでゆきます。

1.車両の形式等に関する用語

系列(けいれつ)
複数の形式が用途や外形などで同じグループに属する形式群を指します。(例:103系)
形式(けいしき)
同一形態の車両を一つのグループとして名付けた記号や番号のことを指します。(例:モハ72) 本来の機械装置では「型式」を使うのが一般的ですが、国鉄で「形式」を用いたため、鉄道車両については多くの事業者で「形式」を使います。
本稿もそれに倣いますが、機械装置である台車、主電動機、制御器等については「型式」と記載します。
一般的には「形式」は手順や方法などを表す用語です。(例:形式的にあいさつする)
型式(けいしき・かたしき)
機械などの構造や性能などの違いを分類するために名付けた記号や番号のことを指します。(例:DT13型台車)本来、車両についても「型式」を使うべきと思いますが、上記のように国鉄の使い方に準じます。
読み方は「けいしき」が正しいと思われますが、「形式」との取り違えを防ぐためあえて「かたしき」と読んだものが、一般的になりつつあります。
番代(ばんだい)
同一の形式で仕様の違いを表すため、固有番号を大きく離して付番したものを指します。(例:113系1000番代)
最近のWeb等では「番台」という文字を使うケースが見られますが、国鉄では「番代」を使用しており、本稿もそれに倣います。
なお、私は意味的にも「番代」が正しいと考えています。「代」は世代とか代替わりなどに使う漢字で、国語辞典で「人生や歴史の各区分」などと説明されます。鉄道車両の世代や仕様の違いを表す「番代」と意味の一致が見られます。
これに対し、なぜ「番台」が多く使われるのかというと、パソコンの変換で「番台」が出てくるからです。「番台」という熟語は「風呂屋の番台」などで使われます。「番代」という熟語はないので、変換候補に出てこないのです。
「台」を使う用語としては、「円安が150円台に達した」「20番台の札を持っている人手を上げて」などが考えられます。例えば31番の札を持っている人は「20番台の札を持っている人」ではありません。
これを鉄道に当てはめると、番代を使うと「クハ103-599」「クハ103-600」ともに500番代ですが、番台を使うと「クハ103-599」は500番台、「クハ103-600」は600番台という感じに、無意味な区別が生じることになります。
系(けい)
複数の形式が同じグループに属するもの(特に編成もの)には「系」を付けます。(例:201系)
国鉄での系列の概念は新性能電車の101系など以降であり、旧性能電車に系列はありません。しかし、通称として「80系」「51系」などの呼び方はあったようですし、便宜上そのように呼んだ方が分かりやすいので、本稿でもそれに倣います。
また、小田急や京成など系列を「形」と表記する事業者もありますが、本稿では標記の統一の観点から、これらも「系」と表記します。この点には反論もあろうかと思いますが、「京王9000系と小田急8000形」と書き方を変えると違う基準で書いたように取り違えます。また「小田急8000形」と「小田急デハ8000形」との違いは、並の知識では難しいと考えます。
形(かた)
単一形式を示すものには「形」を付けます。(例:モハ80形)
これは上記「形式」に対応するもので、事業者によって「型」と表記する場合もありますが、車両については「形」に統一します。
ちなみに、本来は工業製品と同じく「型」が正しいと思います。しかし明治時代にまだ当用漢字も常用漢字もない時期に国鉄が定めた用語ですので、現在の漢字の使い方と乖離が生じているのもやむをえません。
型(かた)
台車や主電動機などの機器類の型式を呼称する際に「型」を付けます。(例:MT40型主電動機)
号(ごう)
固有の車両を示す場合に「号」を付けます。(例:デハ6287号)
これは、私鉄車両や大正期までの国鉄車両などで、形式と固有番号が一体化している付番方法の場合、形式を表しているのか、固有の車両を表しているのか不明確になるのを防ぐためです。
(例)
デハ6285形=6285〜6296の12両を指す
デハ6285号=6285の1両を指す
デハ6285=上記どちらなのか分からない

2.電車の種類等の用語

国鉄(こくてつ)
狭義には「日本国有鉄道」の略称ですが、広義には国が運営していた鉄道全般を指しますので、鉄道院、鉄道省の時代を含めて本稿では国鉄と記載します。
国電(こくでん)
「国鉄電車」の略称ですが、一般的には短距離を走る電車を指します。下記に示した「院電」「省電」を1949年の国鉄(狭義)発足に伴い言い換えたもので、かつての「電車」と「汽車」の区別を言い表した言葉です。
旧型国電までは、80系を含む電車全般を含めて「国電」と呼んでいましたが、新性能電車では通勤形電車かせいぜい近郊形電車までが「国電」の範囲です。
省電(しょうでん)
鉄道省の電車のこと。この当時の電車は、首都圏では京浜東北線や横須賀線、関西では京阪神間が最長であり、長距離輸送は機関車のけん引する客車でした。
院電(いんでん)
鉄道院の電車のこと。これが省電になり、国電になりました。この時代の電車は中央線、山手線、京浜線のみです。
電車(でんしゃ)
普通名詞としては、架線などからの電力によってモーターを動かして走る鉄道車両を「電車」と総称します。
一方、運転系統として「電車」と「列車」という二つの区分が、国鉄時代から存在します。「電車区間」「列車区間」とか「電車線」「列車線」などと区別されます。都市圏の近距離を走るものを「電車」と呼びます。
これは、上記「国電」のところでも記載したように、「電車」はその発達過程から、近距離を走るものだったためです。
列車(れっしゃ)
鉄道用語としての規程面から言えば、「停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両」となります。
一方、運転系統としての「列車」は、国鉄において長距離を走るものや都市圏以外を走るものを指します。
(例)
(東京〜横浜間)横須賀線、京浜東北線=電車、東海道線=列車
(常磐線)取手以南の231系など=電車、取手以北に行く531系など=列車
(中央線)東京〜大月間の快速で、東京〜高尾間=電車、高尾〜大月間=列車
なお、ダイヤ組成上も、「電車」は一部の駅にしか発着時刻が設定されておらず、多くを標準時刻で運行するものであり、「列車」はすべての駅に発着時刻が設定されているなどの違いがあります。
汽車(きしゃ)
普通名詞としては、客車や貨車をけん引する機関車。中でも蒸気機関車が「汽車」と呼ばれます。
一方で、上記の「電車」「列車」の運転系統上の区別による「列車」に相当するものを、通称として「汽車」と呼ぶ傾向がありました。特に地方でこの傾向が強くみられます。
ゲタ電(げたでん)
“下駄履きで乗れる電車”という意味で、上記の「国電」などとほぼ同じことを表す通称です。特に旧型国電の時代に用いられていたため、101系以降の新性能電車にはあまり使われません。
旧型国電(きゅうがたこくでん)
国鉄の旧性能電車を表します。
本稿では「旧型国電」と記載しますが、「型」を使う理由は、単なる「古い形の電車」を表した用語ではなく、釣り掛け駆動という「古い様式の電車」を表しているからです。
恐らく「旧形国電」と書くべきとおっしゃる方も一定数おられると思います。それは、上記の「形式」「形」などで記載したとおり、国鉄の形式称号が「形」という文字を使っているからです。しかし「旧型国電(旧形国電を含む)」は国鉄用語ではないため、国鉄の呼び方には縛られない普通名詞と考えて問題ありません。
ちなみに、1959年称号改正以降「旧形電車」「新形電車」という用語は国鉄で使用しています。これも国鉄が「形」という漢字を使用する一例です。ただし時期的に「旧形=釣り掛け、新形=カルダン」と区別できた時代の用語なので、そこにこだわる必要はありません。
しつこく言うと、「旧形国電」と書くなら、1990年代時点で101系も「旧形国電」ですし、2000年代になれば201系も「旧形国電」になってしまいます。
車種別略号(しゃしゅべつりゃくごう)
車種別の略号は、下記に基づき使用します。
国鉄の称号規程、または日本工業規格(2019年に日本産業規格に変更)JIS E 4001に基づくものです。
表11-3-1 車種別略号一覧
車種 略号 語源
蒸気機関車 SL Steam Locomotive
電気機関車 EL Electlic Locomotive
ディーゼル機関車 DL Diesel Locomotive
客車 PC Passenger Car
電車 EC Electric Car
気動車 DC Diesel Car
貨車 FC Freight Car
表11-3-2 電車細別略号一覧
車種 略号 語源・用法
中間電動車 M Motor
制御電動車 Mc Motor, Control
付随車 T Trailer
制御車 Tc Trailer, Control
2等車(→1等車→グリーン車) S Second(Ts,Tscなどと使用)
食堂車 D Dining(Md,Tdなどと使用)
ビュッフェ式食堂車 B Buffet(Tbなどと使用)
売店車 K Kosaikai(Tkなどと使用)
寝台車 N Night または Neru(寝る)
表11-3-3 電車細別略号(慣用のもの)一覧
車種 略号 語源・用法
両運転台の制御電動車 cMc
荷物車 G Baggage(Mgc,Tgcなどと使用)
郵便車 P Post(Tgpc,Mpcなどと使用)
事業用車 Z (Mz,Tzなどと使用)

3.電車の運行に関する用語

線区(せんく)
鉄道路線のうち特定の区間を表す用語です。
多くの鉄道関連の書籍やWebでこの言葉を使いますが、正直言って、一般の人にはよく分かりません。
本稿では「路線」と表記します。
電略(でんりゃく)
鉄道電報で使用されていた駅名などの省略記号を「電報略号」略して「電略」と言います。かつては鉄道施設間の連絡にはモールスによる電報が用いられており、日本語はカタカナしか使用できませんでした。そこで、読み違えなどを防ぐため、駅名はカタカナ2文字、路線名はカタカナ2文字+(ホ)セと決められていました。
(例)
東京駅=トウ、新宿駅=シク、小山駅=ヤマ
東海道本線=トカホセ、横須賀線=スカセ
運休=ウヤ、運転士=ウシ、車掌=レチ
これらのうちの、車両の配置を表す電略が、国鉄車両では側面の左隅に記載されており、それなりに知られた存在となっていました。
そのため、鉄道関連書籍やWEB において、これを安易に用いる例が見受けられますが、一般の人には通じないため、本稿では用いません。
(悪い文例)
「北マトから静ヌマに転属した」
(やや悪い文例)
「松戸電車区から沼津機関区に転属した」
(良い文例)
「常磐線から御殿場線に転属した」
上記のやや悪い例は、電略を使っていない点では問題ありませんが、所属区は飽くまでも車両を運行するための手段であり、実質的にはどの路線に使うかが目的なので、本稿では路線名を記載します。
静ママ
静ママ

撮影:伊那松島機関区(1981.1.3)

飯田線の伊那松島機関区は、静岡鉄道管理局の「静」と伊那松島の電略「ママ」を組み合わせて「静ママ」と車体隅に書かれています。
これはほぼすべての車両に書かれているため、本来内部用語である電略を、愛好家が普通に使うようになったのだと思います。

急行電車(きゅうこうでんしゃ)
「急行電車」と「急行列車」は別の物です。
「急行電車」は1933年に中央線東京〜中野間で運行が始まり、1934年に京阪神間でも運行が始まりました。京阪神間では「急電」と略されたりします。これらは1958年に「快速電車」に改称されます。
つまり、急行料金が必要な「急行列車」に対し、「急行電車」は料金を必要としない、近距離電車の速達版という位置づけです。
上の方でも書いたとおり、当時は「電車」と「列車」は全くの別物と捉えられていましたので、同じ駅を料金のいらない「急行電車」と料金が必要な「急行列車」が発着していても、混乱は生じなかったとのことです。
ちなみに、現在でも中央線の複々線区間で快速が走る線路は「中央急行線」と呼ばれます。
中急
中急

撮影:新宿駅(2026.4.29)

新宿駅ホームの出発反応標識に見られる「中急」「山貨」の表示。
「中急」というのは「中央急行線」を表し、この路線が急行線であることが分かります。
「山貨」は「山手貨物線」を表します。

電車区間(でんしゃくかん)
運行系統としての「電車」の走る区間で、東京付近では南は久里浜まで、西は高尾まで、北は大宮まで、東は千葉まで。大阪付近では南は和歌山まで、西は神戸まで、東は京都まで。つまり終戦時点で国電が運行されていたエリアにほぼ一致します。
近距離区間であるため、途中下車の禁止や通用期間を1日とするなど特殊な扱いとなっています。
電車線(でんしゃせん)
電車運転のための線路で、電車専用線の場合と列車電車併用の場合があります。ホームの高さは、列車電車併用の場合軌条面上920mm、電車専用の場合は1,100mmとすることが建設規定に定められています。
主な参考文献
  • B5801 「鉄道辞典(上巻・下巻)」(1958)日本国有鉄道
  • B5902 「鉄道用語小辞典 1958年版」(1959)鉄道図書刊行会編
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“ゲタ電”の頃