JR西日本
JR西日本では、国鉄から継承した205系や213系には、国鉄譲りのラインカラーを続けましたが、自社設計の車両からは徐々にその考え方を変えて行ったようです。最終的に、帯色に強い自己主張はなく、路線ごとのラインカラーでもなく、転属の際にも帯色を変えることはないという淡白さが、関西の考え方のようです。
207系(1991年)

JR西日本の自社設計の通勤電車207系は、コーポレートカラーの青と、京阪神緩行線で使われていたスカイブルーに似た色のラインが入ります。
223系1000番代(1995年)

新快速用に新造されたステンレス車で、普通鋼の221系の帯色の考え方を踏襲し、関西急電カラーである茶色やコーポレートカラーの青を含む4色のラインが入ります。面積の広い色がベージュであるからか、各色の主張はありません。車両の転属時に帯色の変更もありません。
321系(2005年)

これまでコーポレートカラーをメインにした、ラインカラーらしいラインカラーだった4扉通勤電車のラインを、完全にイメージチェンジしました。メインとなる太い帯色が紺色で全く目立ちません。細く入ったオレンジ色の意味も分かりません。
227系(2015年)

普通鋼製車は1色塗りにするという暴挙に出たJR西日本ですが、新車には地域別の新カラー分けを導入します。広島地区は赤で、縦のラインと窓下のラインが入ります。愛称は「Red Wing」。
2023年には岡山地区に、桃色の電車も入ります。愛称は「Urara」。
323系(2016年)

大阪環状線用の新車で、国鉄時代からのラインカラーであるオレンジバーミリオンをドア周辺に配置しています。窓下ラインや前面のラインは、ブラウンとオレンジの2本線になっています。
ラインカラーを捨て去ったかと思っていたJR西日本ですが、2019年には、和歌山には深緑色を採用しています。
写真で補足説明
JR西日本 205系

撮影:京都駅(2024.1.13)
JR西日本が1988年から自社仕様にマイナーチェンジした205系1000番代は、カラーデザインは国鉄時代を引き継いでおり、ラインカラーも阪和線のスカイブルーです。
もっとも、JR西日本ではこれら国鉄形のラインの入れ方はこれで打ち止めとなりました。また、奈良線に転属した後もラインカラーの変更を行わないなど、帯色で路線を表すという考え方自体が関西には合っていないのかも知れません。
JR西日本 221系

撮影:森ノ宮駅(2025.3.8)
JR西日本の221系は、1989年に登場したJR西日本独自設計の新快速用電車で、普通鋼製ですが、窓下に関西急電カラーの茶色とベージュにJR西日本のコーポレートカラーである青を加えた3色のラインを入れるデザインは、その後に新造されたステンレス車223系以降にも引き継がれました。
JR西日本 223系

撮影:森ノ宮駅(2025.3.8)
1994年に関空快速に使用するために新造されたステンレス車で、側面窓下に白と青のグラデーションのラインが入ります。青は関西空港線のラインカラーのようです。
その後、紀州路快速の運行開始や、車両転属により紀勢線や山陰線(嵯峨野線)、湖西線などへの運行範囲拡大もありますが、帯色はそのままです。
JR西日本 223系1000番代

撮影:新大阪駅(2025.7.5)
1995年から京阪神間を中心とした新快速にもステンレスの223系が登場。帯色は普通鋼の221系を踏襲したものの、ステンレスボディに茶色やベージュのラインは地色と一体化してしまい、上手な色付けとは思えません。
さらに新快速以外に転用された後も、同じ色の帯のまま使用されています。
JR西日本 207系

撮影:新大阪駅(2025.7.5)
2005年登場の321系に合わせて、207系は紺色の太い帯にオレンジ色の細い帯を沿わせたラインに変わりました。しかし、ステンレス地色に紺色が一体化してしまい、さらにオレンジ色は環状線のラインカラーと似ていて、やはり上手な色付けには見えません。
(当初321系と記載していましたが、sakaisuji66613様の指摘で207系に修正しました)
JR西日本 323系

撮影:福島駅(2025.3.8)
大阪環状線の伝統カラーであるオレンジ色をいたるところに使って「らしさ」を強調した電車。
できれば他の路線も同じようなラインカラーの展開をしてほしいと思います。
JR西日本 227系(和歌山色)

撮影:橋本駅(2025.7.4)
2019年に和歌山線、桜井線などに投入された227系1000番代は、深緑色をイメージカラーとして窓下ラインとドア脇に展開しています。もっとも、彩度の低い色なので、コンビとなるブラウンの帯とともに沈んだ配色に見えます。
JR西日本 227系「urara」

撮影:岡山駅(2025.5.1)
岡山地区に投入された「urara」は、桃色がコンセプトカラー。岡山の桃、福山のバラ、尾道の桜など沿線の自然を表現した色になっています。
側面の細かい線は、かつての117系「サンライナー」の色を再現しているとか。JR西日本のステンレス車カラーも、かなり進化してきました。本丸の京阪神間や阪和線も、一発発起をお願いしたいです。