廃車体は生きている

公園のバス1(交通公園)

交通公園の中に置かれている遊具代わりのバスをご紹介します。
子供に乗り物に親しんでもらうため、公園の中に乗り物を置くことは各地で行われています。蒸気機関車や路面電車に始まり、消防車やバスなどがその代表例でしょうか。これらはその多くが遊具という位置づけであるため、管理者がいる場合も時を経るにつれ老朽化が進み、最悪廃棄される場合もあります。特にバスの場合は鉄道車両と異なり、その車両でなければいけないという必然性がないため、車両代替されやすいようです。
(注1)

交通公園のバス

新宿交通公園(葛飾区)
交通公園のバス
都営バス

撮影:新宿交通公園(2026.3.13)

東京都交通局 日産デU-UA440HSN(1993年)

三菱MP107Kに代わり、2006年からこの場所に置かれた都営バス。先代がそんなに汚れていなかっただけに交代はちょっと残念です。また、これらの公園でも10数年ごとに車両が入れ替えられることがやはり証明されてしまいました。
(2007年の写真を2026年の写真に差し替えました。この時点で20年目。綺麗に保守されて生きています)

交通公園のバス
都営バス

撮影:新宿交通公園(2005.1.22)

東京都交通局 三菱K-MP107K(1982年)

子供が交通について学ぶための公園に、元都営バスの三菱車が利用されています。
都営カラーのままで、方向幕には公園の名前のシールが張られ、子供たちのよき遊び場になっています。
(2006年に日産デUA440と代替で撤去)

消防車
消防車

撮影:新宿交通公園(2026.3.13)

いすゞTXG10(1970年)

いすゞのボンネット型の消防車も置かれていますが、こちらは古いものが代替されずに残されています。
特殊消防ポンプ車(化学消防車)で、以前は滑り台になっていたため、屋根の上に柵が設けられています。

城北交通公園(板橋区)
交通公園のバス
都営バス

撮影:城北交通公園(2018.12.17)

東京都交通局 日野K-RE101LF(1982年)

大型方向幕の日野車。モノコックボディとしてはほぼ最終期の車両です。前面方向幕には「王78 大和町」という実物が入っており、K458という局番も確認できます。塗装はイラストバスの姿のままです。
囲いや門がめぐらされて、管理が行き届いているので安心です。

板橋交通公園(板橋区)
交通公園のバス
都営バス

撮影:板橋交通公園(2018.12.17)

東京都交通局 いすゞBU04V(1975年)
都営バス

撮影:板橋交通公園(2005.1.29)

大塚営業所所属というような車体表記もそのままで、地元付近の板橋区で余生を送っている都営バス。局番はG-C457です。
一部に破損はありますが、表示物などもよく残っており、状態は良好です。前面は系統幕は残されているものの、方向幕は埋められています。破損してしまったためでしょうか。後面の方向幕は2005年時点では中身がありませんでしたが、2018年時点では中身を入れ直した痕跡があり、しかし外れかけていました。
(2025年10月に公園改修のため撤去)

萩中公園(大田区)
萩中公園(ガラクタ公園)
萩中公園(ガラクタ公園)

撮影:萩中公園(2026.3.13)

大田区の萩中公園は、運動場や交通公園などを含む広い公園です。その中で、乗り物が置かれているところは「ガラクタ公園」と名付けられています。
以前はその名の通り、ガラクタのようになった車両ばかりでしたが、それらが撤去されてしばらく経った2011年に萩中集会所がその場所に新築され、場所交換したガラクタ公園も再整備されました。その後に置かれた乗り物の状態は良好です。もっとも、バスは撤去されたまま補充はされていません。

交通公園のバス
都営バス

撮影:萩中公園(2005.1.29)

東京都交通局 いすゞBU04V(1976年)

このページの中では最悪な状態。子供が怪我をしないようにという配慮からか、ガラスやサッシなどあらゆる部品を撤去した状態です。ここには他に都電や消防車もありますが、皆同じ状態です。リスク回避の権化のような存在でしたが、これでも子供が怪我するリスクを嫌ったようで、撤去されました。
(2007年に撤去を確認)

交通公園の都電
都電

撮影:萩中公園(2005.1.29)

東京都交通局 7500形(7502号)

都バスとともに置かれていた都電も、負けず劣らず完全なリスク回避の外観。塗装がおかしいのも都バスと同じです。結局、都バスと同時に撤去されたそうです。
(2007年に撤去を確認)

鉄道車両

都電7000形(7008号)
都電
萩中公園(2026.3.13)

東武鉄道B3形(34号)蒸気機関車
東武鉄道
萩中公園(2026.3.13)

軌道モーターカー
軌道モーターカー
萩中公園(2026.3.13)

ここには鉄道車両もありますが、それらは説明板もあり、保存車という位置づけです。
都電7000形は、上記の7500形に代わり2013年に設置されたもので、状態は良好。説明板には1955年製との記載しかありませんが、1977年に車体更新された近代的ボディです。
蒸気機関車は1966年に東武鉄道から譲渡された英ピーコック社製の蒸気機関車。1996年に大改修したとのこと。やはり蒸気機関車は大事にされます。
もう1両は国鉄で使用されていた加藤製作所製の軌道モーターカー。1955年製で、1976年に廃車になったもの。これもちゃんと説明板が付けられた保存車です。

自動車やボート

日産ディーゼル 消防車
日産ディーゼルコンドル
萩中公園(2026.3.13)

いすゞエルフ 死角体験トラック
いすゞエルフ
萩中公園(2026.3.13)

モーターボート
ボート
萩中公園(2026.3.13)

ガラクタ公園ならではの代替されがちな乗り物も、引き続き置かれています。いずれも、以前にあったものが代替されています。
交通公園の定番である消防車は日産ディーゼルのポンプ車。大田区では両側のドアを開けた状態で固定し、運転席に入りやすくする工夫をしています。
同じくドアを開けたいすゞエルフも置かれていますが、これは「死角体験トラック」として東京都トラック協会太田支部から寄贈されたもの。子供が遊ぶ公園で交通安全を学ぶには優れた教材です。
そして地面に埋まったモーターボート。これも人気です。

府中交通遊園(府中市)
交通公園のバス
京王バス

撮影:府中交通遊園(2012.1.14)

京王バス東 日産デKC-JP250NTN(1999年)

2011年に府中交通遊園のバスが更新されて、ワンステップバスになりました。A902という車番が残っており、都心部で使用されていた車両。前乗り中降りの表示ですが、方向幕はこの場所に来る路線のものが付けられています。
京王グループがバリアフリー化を推し進めるために日産ディーゼル+西日本車体の組み合わせを導入し始めたのは1990年代中盤のことですが、今はシャーシ、ボディともに過去のバスメーカーになってしまいました。

ちゅうバス
ちゅうバス

撮影:府中交通遊園(2018.9.8)

京王バス中央 日野BDG-RX6JFBA(2008年)

地元府中市の「ちゅうバス」に使われていた日野リエッセが加わりました。方向幕は側面行き先表示板もそのままです。ここに来る本物の「ちゅうバス」と間違えないようにという配慮か、「展示車両」という張り紙を貼っています。
車番はB20803です。
中ドアには車椅子用リフトがあり、後部には「環境への負荷が少ない天然ガス自動車」という文字があるCNG車です。

交通公園のバス
京王バス

撮影:府中交通公園(2005.1.29)

京王電鉄 いすゞP-LV314N(1987年)

方向幕には「健康センター」とあり、かつては路線バスとしてこの地へ乗り入れていたバスのようです。B18706という車番も残っています。
1999年に京王電鉄から寄贈されたという記載があります。過去の遺物となりつつある3扉車が選ばれたことは、賞賛に値するのではないでしょうか。
(2011年に日産デJP250に代替され撤去)

交通公園のバス
BR20

撮影:のむ様(府中交通公園 1982頃)

いすゞ BR20
BR20

撮影:のむ様(府中交通公園 1982頃)

1980年代に府中交通公園に置かれていたバス。府中市の自家用バスを転用したもので、いすゞで帝国ボディの組み合わせ。1963年製くらい。
当時のバスの寿命から考えると、1973年頃に廃車になってここに置かれ、1983年頃に後継車(写真はありませんが、府中市の日野RV)に代替されたのだと思われます。

消防車
消防車

撮影:府中交通遊園(2018.9.8)

地元の府中市消防団の消防車も展示されています。
確か以前はいすゞのボンネット形消防車が置いてあったのですが、2010年にエルフに代替したとのこと。バスと同じで、消防車も車種による必然性はなく、消防車であればいいという考えで代替されてゆくようです。

鉄道車両

都電6000形(6191号)
都電
府中交通遊園(2018.9.8)

D51形(296号)蒸気機関車
デゴイチ
府中交通遊園(2018.9.8)

EB10形(1号)電気機関車
EB10
府中交通遊園(2018.9.8)

府中交通遊園には、鉄道車両も置かれています。これらは、府中市と関係ないものがほとんどですが、代替性がないという理由で再塗装などの保存活動が繰り返され、大切に保存されています。
都電は荒川線で使用されて廃車になったものを1981年に譲受、D51形蒸気機関車は青森機関区で廃車になったものを1972年に譲受しています。EB10形電気機関車は、地元の東芝で製造された蓄電池機関車を電気機関車に改造したもので、これに限っては府中市との関係性が見出せます。

調布市子ども交通教室
鬼太郎バス
鬼太郎バス

撮影:調布市子ども交通教室(2024.2.17)

京王バス 日野KK-RX4JFEA(2004年)

「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげる氏が1959年から調布市在住だったことから「鬼太郎バス」と名付けられたコミュニティバスが走っていましたが、廃車になるに伴い、2020年9月から子ども交通教室に展示されました。
車番はL20407
日にちを決めて公開されています。

さくら交通公園(つくば市) (保存車の世界と重複掲載)

東名ハイウェイバス1号車
東名ハイウェイバス
さくら交通公園(2005.1.22)

D51形(70号)蒸気機関車
デゴイチ
さくら交通公園(2016.5.14)

キハ04(8号)気動車
気動車
さくら交通公園(2005.1.22)

国鉄バスの東名ハイウェイバス1号車という代替性のない存在で、かつ屋根つきで管理も行き届いていることから、保存車と捉えて問題のない車両。
キハ04形気動車は、地元の筑波鉄道で廃車になったもので、元は戦前の国鉄気動車であり、原形をよくとどめていることから、ボランティア団体「キハ04 8保存会」がさくら交通公園の敷地内に保存していたもの。大宮の鉄道博物館の開館に合わせて、そちらに移転しました。

鳥屋野交通公園(新潟市)(保存車の世界と重複掲載)

「なまず号」
新潟交通
鳥屋野交通公園(2012.8.25)

消防車
消防車
鳥屋野交通公園(2012.8.25)

C57(19号)蒸気機関車
蒸気機関車
鳥屋野交通公園(2012.8.25)

新潟市の鳥屋野交通公園では、地元の北村製作所が最後に製作した大型バスを保存しています。やはり代替性がなく、屋根つきで保存されていることから、保存車と判断しています。
もっとも消防車の方は、撮影時にはふそうの車両でしたが、この後いすゞエルフの消防車に代替されてしまったそうです。
蒸気機関車の通称「シゴナナ」は新津機関区に配置されていた地元の蒸気機関車です。2013年に新津鉄道資料館に移動しました。後継として、現在はUD製の消防車が展示されているそうです。

比島交通公園(高知市)
バス図書館「未来」(バス図書館と重複掲載)
高知県交通

撮影:比島交通公園 2007.5.27)

県交北部交通 日産デP-RM81G

交通公園にあるバス図書館。元高知県交通の車両で、最終的には分離子会社に所属していたようです。
公園の中にあり、かつ図書館として活用されているため、車両の状態は非常によいようです。方向幕には「未来」の文字が入っています。

注意事項
本ページは、「廃車体は文化遺産である」という趣旨によって作成しております。当サイトを訪れる方は、この趣旨を御理解いただける方だと思いますが,万が一,本ページの悪用による廃車体への損傷等があった場合は,本ページ及び関連する事項は即刻削除いたします。
(注1) 公園内に置かれている乗り物が保存車であるか単なる遊具であるかは、意見が分かれる可能性がある。蒸気機関車や路面電車などは「この車両でなければならない」という代替不可能性があるため、保存車に分類されることが多い。しかし、バスの場合はそういった必然性はなく、「バスであればいい」というケースが多い。事実、老朽化が進むとためらいなく代替されている。従って、本稿ではこれら公園内のバスについては廃車体として扱っている。
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80s岩手県のバス“その頃”